悪心・嘔吐とは、吐き気を感じる状態を「悪心」、実際に吐いてしまう状態を「嘔吐」と呼びます。
これらは病気そのものの名前ではなく、体に何らかの負担や異常が起きたときに現れる症状です。
消化器のトラブルだけでなく、
・手術後
・麻酔後
・抗がん剤治療中
・妊娠初期
・強い痛みや不安
・乗り物酔いなど
さまざまな場面で起こることがあります。
なぜ起こるの?
悪心・嘔吐は、脳の中にある「吐き気を感じる中枢」や、薬や化学物質を感知する部位、平衡感覚に関わる神経などが刺激されることで起こります。
・胃や腸の異常
・薬の影響
・痛みや強いストレス
・自律神経の乱れ
・内耳の異常
・血液中の化学物質の変化
などが、迷走神経や前庭神経といった神経経路、あるいは血液中の化学物質を化学受容器引金帯(CTZ)が感知することで、吐き気や嘔吐として現れます。
一つの原因だけでなく、いくつかの要因が重なって起こることも少なくありません。
どんな症状が出るの?
吐き気や嘔吐に加えて、
・胃のむかつき
・みぞおちの不快感
・冷や汗
・めまい
・動悸
・全身のだるさ
などを伴うことがあります。
症状が強い場合には、食事や水分がとれなくなり、脱水や体力低下につながることもあります。
どうやって診断するの?
「なぜ起きているのか」を調べることが大切です。
医師は、
・症状が始まった時期や経過
・吐く回数や内容
・腹痛や発熱の有無
・服用している薬
・持病の有無
などを丁寧に確認します。
必要に応じて、
・血液検査
・画像検査
・内視鏡検査
などが行われ、重い病気が隠れていないかを判断します。
治療の基本
治療の基本は、原因に応じた対応を行うことです。
多くの場合、制吐薬などの薬物療法が中心となり、水分補給や食事内容の調整、安静も重要になります。
原因がはっきりしている場合には、その病気に対する治療が優先されます。
鍼灸は役立つの?
鍼灸治療は、悪心・嘔吐に対する補助的な方法として研究されています。
特に、手首の内側にある「内関(ないかん)」というツボへの刺激は、手術後や抗がん剤治療に伴う悪心・嘔吐を軽減する可能性が、複数の臨床研究で報告されています。
鍼やお灸による刺激が、自律神経のバランスを整えたり、吐き気に関わる神経の働きを調整したりすることで、症状のつらさを和らげると考えられています。
ただし、鍼灸だけで悪心・嘔吐を治すことは難しく、標準的な医療の代わりになるものではありません。
薬物療法と併用しながら、症状緩和を目的として用いられるのが一般的です。
受診の目安
悪心・嘔吐が、
・急に強く現れた場合
・何日も続く場合
・激しい腹痛や胸痛
・発熱
・血を吐く
・真っ黒な便が出る
・意識がぼんやりする
・水分がほとんどとれない
といった症状を伴う場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
まとめ
悪心・嘔吐は、さまざまな原因で起こる身近な症状ですが、生活の質を大きく下げることがあります。
治療の基本は、原因を見極めたうえでの標準的な医療です。
鍼灸治療は、その治療を支える補助的な選択肢として、つらさを和らげる助けになる場合があります。
不安な点があるときは、医師や鍼灸師に相談しながら、安全性を重視して取り入れていくことが大切です。