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坐骨神経痛について

坐骨神経痛とは、腰からお尻、太ももの後ろ、ふくらはぎ、足先へと伸びる「坐骨神経」に沿って痛みやしびれが出る状態をいいます。

これは病名ではなく症状の名称で、多くの場合、腰椎(腰の骨)に原因があります。ただし、骨盤部や筋肉によって神経が刺激されるケースもあります。

医学的には、神経の根元(神経根)が圧迫や炎症を受ける「腰椎神経根症」によるものが代表的です。

多くは片側の足に症状が出ます。


なぜ起こるの?


坐骨神経は、腰椎から出た複数の神経が集まってできる、体の中で最も太い神経です。

この神経の出口(神経根)が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで、神経に沿った痛みやしびれが起こります。

主な原因は次のとおりです。

・腰椎椎間板ヘルニア

 飛び出した椎間板が神経に触れ、圧迫や炎症を起こします。

・腰部脊柱管狭窄症

 加齢変化により神経の通り道が狭くなります。

・変形性腰椎症(骨棘形成など)

・まれに腫瘍、感染症、外傷

椎間板ヘルニアでは、「物理的な圧迫」だけでなく、炎症物質による神経根の炎症も関与していることが分かっています。

多くの椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛は、数週間から数か月で自然に改善することが多いと報告されています。

一方、脊柱管狭窄症は慢性的に経過することが多く、歩くと足が痛くなり、休むと楽になる「間欠性跛行」が特徴です。

また、痛みをかばうことで腰やお尻の筋肉が過度に緊張し、血流が悪くなり、痛みが強く感じられる悪循環が生じることもあります。


どんな症状が出るの?


主な症状は、腰から足にかけて広がる痛みです。

・お尻から太もも、ふくらはぎにかけての痛み

・電気が走るような鋭い痛み

・ピリピリ、ジンジンするしびれ

・感覚の鈍さ

・足の筋力低下

特徴として、「腰よりも足の痛みのほうが強い」ことがよくあります。

強い神経圧迫がある場合には、排尿や排便の障害が起こることがあり、この場合は緊急対応が必要です。


どうやって診断するの?


診断は、症状の分布と身体診察が基本です。

・痛みやしびれの広がり方

・筋力や感覚の左右差

・腱反射の低下

などを確認します。

下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)は、椎間板ヘルニアによる神経刺激の評価に有用です。

必要に応じてMRI検査を行い、神経の圧迫の有無を確認します。

ただし、画像所見と症状は必ずしも一致しないため、画像だけで治療方針を決めることはありません。


治療の基本


重度の麻痺や排尿障害がない限り、まずは保存的治療を行います。

・NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

・アセトアミノフェン

神経障害性の痛みが強い場合には、

・プレガバリン

・ガバペンチン

などが検討されることがあります。ただし、急性期の効果は限定的とする報告もあり、効果には個人差があります。

強い痛みが続く場合には、

・神経根ブロック注射

が短期的な痛みの緩和に用いられることがあります。

近年は、過度な安静よりも「痛みの範囲内で体を動かす」ことが回復に有利とされています。

理学療法(ストレッチ、体幹トレーニング)は再発予防に役立つ可能性があります。

手術は、

・進行する筋力低下がある場合

・馬尾症候群が疑われる場合

・数か月の保存療法で改善しない強い痛み

などで検討されます。


鍼灸は役立つの?


鍼灸は、神経の圧迫そのものを取り除く治療ではありません。

しかし、

・過度に緊張した筋肉をやわらげる

・局所の血流を改善する

・痛みの感じ方を調整する

といった作用を通じて、症状の軽減をサポートできる可能性があります。

慢性腰痛に対しては一定の科学的根拠があり、坐骨神経痛に対しても補助療法として活用されることがあります。

特に、

・痛みにより筋緊張が強くなっている場合

・慢性化している場合

・薬だけでは十分に改善しない場合

には、身体全体のバランスを整える施術が役立つことがあります。

当院では、整形外科的な病態を踏まえたうえで、安全性に配慮しながら施術を行っています。医療機関での診断を受けながら併用することが望ましいです。


受診の目安


次のような場合は、すぐに医療機関へ相談しましょう。

・足の力が急に弱くなった

・排尿や排便がしにくい

・会陰部(股の間)の感覚が鈍い

これらは「馬尾症候群」の可能性があり、緊急対応が必要です。

また、

・発熱を伴う

・がんの既往がある

・原因不明の体重減少がある

といった場合も、他の病気が隠れていないか確認が必要です。


まとめ


坐骨神経痛は、腰椎から出る神経が圧迫や炎症を受けることで起こる、足に広がる痛みやしびれの症状です。

多くは保存的治療で改善しますが、筋緊張や血流不良が重なることで症状が長引くこともあります。

医療機関での診断を基本としながら、必要に応じて鍼灸を併用することで、回復しやすい身体環境を整えることが可能です。

つらい痛みを我慢せず、早めにご相談ください。