過敏性腸症候群(IBS)は、腸に目立った異常や炎症が見つからないのに、腹痛やお腹の張り、下痢や便秘などの症状が長く続く病気です。
命に関わる病気ではありませんが、生活の質を大きく下げてしまうことがあります。
主な症状
・お腹がしくしく痛む、重たい感じがする
・下痢が続く、または便秘が続く(両方くり返す人もいます)
・お腹が張ってガスがたまりやすい
・排便すると少し楽になることが多いです
症状は、ストレス、緊張、寝不足、食べすぎ・飲みすぎ、冷えなどで強くなることがあります。
検査(血液検査、レントゲン、内視鏡など)で重大な病気が見つからないのが特徴です。
どうして起こるの?
原因は一つではありません。
・腸の動きが過敏になる
・腸と脳の連絡(脳腸相関)が乱れる
・ストレスや不安が強い
・腸内細菌のバランスの変化
・感染症のあとに残る変化
こうした要素が重なって起こると考えられています。
診断について
他の病気(炎症性腸疾患、がん、潰瘍など)を除外しながら、
症状の出方や続いている期間を総合して診断します。
体重が急に減る、血便が出る、発熱が続く、夜間も痛みで目が覚める場合は、IBSだけとは限らないので注意が必要です。
治療の基本
治療は「症状を軽くして、生活を楽にする」ことが目的です。
・生活習慣の見直し(睡眠、運動、休息)
・食事の工夫(食べ過ぎない、脂っこい物・刺激物を控える など)
・必要に応じて薬(腸の動きを整える薬、便秘や下痢の薬 など)
・ストレスケア(リラクゼーション、カウンセリング など)
人によって合う治療が違うので、主治医と相談しながら進めます。
鍼灸について
鍼灸は、次のような目的で併用されることがあります。
・お腹や背中のこわばりをゆるめる
・自律神経のバランスを整え、腸の過敏さをやわらげる
・ストレスや不安による緊張を和らげる
・腹痛やお腹の張りの軽減をねらう
一部の研究では、腹痛や不安感が軽くなる可能性が示されていますが、効果には個人差があります。
また、薬の代わりではなく、基本の治療を補う形で使うのが一般的です。
鍼治療を他の治療法に加えて使用すると有用である可能性を示すエビデンスがいくつかあります。
上手に付き合うコツ
・完璧を目指さず、「少しずつ楽に」を目標にする
・症状日記(食事・睡眠・調子)をつけて、きっかけを探す
・不安を一人で抱え込まず、医療者に相談する
・つらいときは無理をしない
過敏性腸症候群は、時間をかけてコントロールしていく病気です。
治療や生活の工夫を重ねることで、多くの方が症状とうまく付き合えるようになります。