ホットフラッシュとは、更年期にみられる代表的な症状で、突然カーッと体が熱くなる・汗が吹き出す といった発作が繰り返し起こる状態です。
顔や首、胸のあたりから始まり、数分でおさまることもあれば、長く続くこともあります。
夜間に起こると寝汗や不眠の原因になります。
女性は40代後半〜50代にかけて、卵巣の働きが弱まり、月経が不規則になり、やがて止まります。
この時期を「更年期」と呼びます。
なぜ起こるの?
主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下です。
・エストロゲンが減ると、脳の視床下部が体温のコントロールをうまく行えなくなり、体が「熱い」と誤って判断する
・皮膚の血管を一気に広げる
・汗をかいて体温を下げようとする
・その結果として、突然のほてり・発汗が起こります。
また次のような要因で強く出やすくなります。
・ストレス、緊張、不眠
・コーヒー・アルコール・辛い食べ物
・急な温度変化、厚着
・喫煙
・体重の増加、運動不足 など
どんな症状があるの?
ホットフラッシュは人によって出方が違います。
・顔・首・胸のほてり、のぼせ
・大量の汗(特に夜間)
・動悸、ドキドキ
・寒気を伴うこともある
・いらいら、不安感、集中しにくい
・寝つきが悪い、夜中に目が覚める
日常生活や仕事、睡眠に影響することもあり、つらさを我慢しすぎないことが大切です。
どれくらい続くの?
数か月で落ち着く方もいれば、数年続く方もいます。
一般には、症状は徐々に弱くなることが多いですが、頻度や強さには個人差があります。
どうやって診断するの?
問診(症状の出方・月経の状況・生活背景)を中心に、年齢や体調を総合的に判断します。
必要に応じて、血液検査でホルモンや甲状腺機能、貧血などを確認します。
似た症状を起こす他の病気(甲状腺疾患、心臓病、感染症など)が疑われる場合は、追加検査を行います。
治療と対処法
症状の強さや体質、持病の有無によって選びます。
1) 生活の工夫
・薄着で重ね着をし、調節しやすくする
・室温を上げすぎない、扇子や携帯用扇風機を使う
・アルコール・辛い食べ物・熱い飲み物は控えめに
・規則正しい睡眠、軽い運動(ウォーキングなど)
・深呼吸やストレッチでリラックス
2) ホルモン補充療法(HRT)
不足したエストロゲン(必要に応じて黄体ホルモン)を補い、
ホットフラッシュや発汗、不眠の改善に有効です。
ただし、血栓症・乳がん・子宮体がん・肝疾患 など、注意が必要な場合があります。
開始前に医師と十分相談し、定期的な検診を受けながら行います。
3) ホルモン以外の薬
ホルモン療法が使えない場合や併用が必要な場合に、
・一部の抗うつ薬・抗てんかん薬
・自律神経の調整薬
などが用いられることがあります。
4) 補完代替療法(サプリなど)
大豆イソフラボンやハーブ製品などがありますが、効果には個人差があり、薬との飲み合わせに注意が必要です。
自己判断で長く続けず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
鍼灸は役立つの?
鍼灸は、ホットフラッシュ症状の頻度や重症度を軽減することに優れています。
それゆえホルモン補充療法の補助として、あるいはホルモン療法が使えない場合に利用することが可能です。
期待できる点として、
・自律神経のバランスを整え、ほてりや発汗を緩和する
・肩こり、頭痛、いらいら、不眠などの随伴症状を和らげる
・リラックス効果でストレス軽減につながる
などが報告されています。
受診の目安
次のような症状がある場合は、別の病気も疑われるので医師にご相談ください。*1
・ほてりや発汗がつらく、生活や睡眠に支障がある
・動悸・息切れ・体重減少・強い不安などが続く
・月経異常が長く続く、不正出血がある
・40歳未満で更年期様の症状が出た
・他の病気や薬の影響が心配なとき
まとめ
ホットフラッシュは、更年期に多くみられる体の自然な変化による症状です。
しかし、つらいのを我慢する必要はありません。
生活の工夫、適切な薬物療法、そして補助的に鍼灸などを上手に組み合わせることで、多くの場合は症状を軽くすることができます。
*1 補足
○ ほてり・発汗がつらく、生活や睡眠に支障がある
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病 など)
・感染症(発熱を伴うもの)
・自律神経失調症
・薬の副作用(降圧薬、ステロイド、抗うつ薬など)
「更年期だけ」とは限らず、ホルモンや薬の影響でも起こります。
○ 動悸・息切れ・体重減少・強い不安が続く
・甲状腺機能亢進症
・不整脈、心不全などの心臓病
・貧血
・パニック障害・不安障害
・糖尿病や重い感染症 など
「ストレスかな」と思っていても、内科疾患が原因のことがあります。
○ 月経異常が長く続く、不正出血がある
・子宮筋腫
・子宮内膜ポリープ
・子宮内膜増殖症
・子宮体がん・子宮頸がん
・ホルモンバランスの乱れ(甲状腺、プロラクチンなど)
不正出血は、がんを含め必ず確認が必要です。
○ 40歳未満で更年期様の症状が出た
・早発卵巣不全(早期閉経)
・甲状腺疾患
・体重変動・過度のダイエット・激しい運動
・自己免疫疾患
・遺伝的・治療(抗がん剤・放射線)の影響
適切に治療すれば妊娠や骨の健康など、将来の対策が立てられます。
○ 他の病気や薬の影響が心配なとき
・薬の副作用(抗うつ薬、降圧薬、ホルモン薬など)
・抗がん剤治療の影響
・肝臓・腎臓の病気
・内分泌疾患(副腎腫瘍、下垂体の病気 など)
更年期症状とそっくりの症状が、別の病気でも起こります。
自己判断で薬を中止せず、心配になりましたら医師に相談しましょう。