10月13日14日 休診
豊島区の鍼灸院 はちみつブンブンしんきゅう院 鍼灸専門・小児はり
誰でも質の高い鍼灸治療を受けられるために・・・ 鍼・針・灸・ 漢方相談・小児はり・美容はり・ 東京都豊島区要町の鍼灸院: 最寄駅: 有楽町線「千川駅」 昔ながらの日本のやさしい鍼灸治療・ 自然治癒力を高めます・婦人科疾患、産前産後のケア・安産・不妊症、逆子、夜泣き・疳の虫・虚弱体質・かぜ・腰痛・ぎっくり腰・坐骨神経痛・膝関節痛・肩こり・五十肩・頭痛・めまい・うつ・腹痛・下痢・喘息など
ただツボに鍼を刺しても病気は治りません
ただツボに鍼を刺しても病気は治りません
20年以上にわたり東洋医学を研究している鍼灸師の言葉とは思えないかもしれませんが、本当です
鍼を刺しても治らないのに鍼灸院があるわけ
ツボに、ただ鍼を刺しても、チクチク感じるか、何も感じないかのどちらかです。病気は治りません。症状も改善しません。よほど「これで治るに違いない」とかたく信じていれば別ですが。「じゃあ、なんで鍼を刺すの?」、「おたくは病気を治す鍼灸院ではないの?」と疑問に思うでしょう。
ツボの場所
病気や症状を改善するには、ツボをよく選ばなければいけません。基本的なツボは365個ありますが(実際にはもっとたくさん)、人によって様々、個人差はけっこう大きいものです。病気の原因や、今の心身の状態、季節や天候など、たくさんの要因がからみ合って、ツボが身体にあらわれてきます。まず、それを見つけなければいけません。効くツボを探し見つける技術と知識、そして経験が必要です。でも、そのツボを見つけて鍼をしても、効果はありません。どうしてでしょう?
鍼は刺すと効くのではなく、効かせるもの
鍼を身体に刺すといろいろな反応があらわれてきます。血流がよくなって、肌がピンク色に変わって、温かくなったり、緊張していた皮膚や筋肉、腱などが緩んできて柔らかくなったりします。知覚神経や自律神経に働き、痛みを抑えたり、気を落ち着かせたりすることもあります。そのような反応を利用すると、病気や症状を改善させることができるのです。ただ鍼を刺しても反応しません。うまく反応するように、効かせるように、鍼を刺して操作しなければいけません。
手技
ここでは、たいてい直径0.10mmから0.20mm、長さ15mmから50mmのステンレス製の鍼(ディスポーザブルの使い回ししないもの)を用います。それを管鍼法によりツボに刺します。ツボの状態によって鍼の種類を替えます。時には、鍼の材質を、銀、タングステン、鍼の長さを変え、太さを変え、鍼先の形を卵型から松葉型に替えたりします。深さはツボに到達するまで。浅い時もあれば、深い時もあります。その時のツボの深さを正確にとらえ、浅すぎても、深すぎてもいけません。そこで手技を加えます。雀啄術、間歇術、屋漏術、振顫術、置鍼術、旋撚術、回旋術などなど。手技によってツボの状態を変化させるのです。
死んだ人に鍼をしても何も起こらない
鍼は身体全体に影響を及ぼすように、全体が調和するように、その一部であるツボに刺します。もし死んだ人であれば何も起きません。小さな穴ができるだけです。でも生きている人であれば、身体が変わり始めます。本来ならば薬も鍼も用いなくても、病気などは自然と治ってしまうことが多いのです。風邪をひいた、腰や足、肩が痛くなった。でも何日か様子をみたら治った。でも、そうでない時もあります。しばらく経っても治らない。そういう時は自然治癒力がうまく働いていないからなのです。その自然治癒力がうまく働くように、調節するのが鍼灸の特徴です。しかし、それでもリスクもあります。
鍼は危険!?
実は、鍼灸医学に詳しくない人が鍼をすれば、大変危険です。鍼を心臓に刺せば死にます。肺に刺せば気胸になり、呼吸困難を起こします。動脈に太い鍼を刺せば出血するし、脊椎の神経に刺しても危険です。このようなことを本当は言いたくありません。なぜなら、知識と技術がある施術者は、これらのことを絶対に起こさないからです。しかし、たまに電気の走るような鋭い感覚(一瞬)、小さな内出血(1、2週間で消える)、刺された場所の違和感(2、3日で消える)などが生じることがあります。鍼を刺すことには、ただでさえ注射や蜂のイメージが付きまとうので、鍼灸治療を受けるのはちょっと気がひけるでしょう。さらに……
はじめての鍼灸院に入るのは勇気がいりますね。なかなか入れません
はじめての鍼灸院に入るのは勇気がいります。誰だってそうです。鍼の知識も経験もある人でもそうです。だってどんな治療をされるのか分からないのですから。鍼灸の専門家であればなおさらです。私たちは信頼でき、安心感のある、よく知っている人に治療を頼みます。しかし、そういう人がいなかったら……。よく話を聞いてくれて、身体全体を診てくれる人を選びましょう。そして、どんな時に鍼灸に頼ればよいのでしょう。
適応
年齢は問いません。1歳未満の赤ちゃんから90歳過ぎの高齢者まで治療にいらっしゃいます。
性別は問いません。男性も女性も同様にいらっしゃいます。少しだけ女性の方が多いのですが、それは女性の方が鍼に向いているのではなく、口コミのためです。
体力は問いません。虚弱な方から、頑強な方まで体力に合った治療を受けられます。
痛みに敏感であることは問いません。刺激は強くすることもできれば、弱くすることもできます。小児はりのように、鍼を刺さない治療法もあります。
病気の種類は問いません。なぜなら自然治癒力を働かせるのが鍼灸医学だからです。ただし緊急を要する重篤な疾患、例えば心筋梗塞や脳卒中などは別です。受診で多い疾患はこのページの一番下にあります。
それだけではありません。
予防や養生
日々の仕事や家事などで疲労がたまり、身体に違和感をもつ時があります。そんな時に何の準備もしないで趣味の登山やトレーニングをすると、足や膝を痛める時があります。十分にストレッチや準備運動をしても、湿布など薬を使っても、痛める時は痛めてしまいます。こういう時も鍼灸が活躍します。あらかじめ、身体の違和感、異常を鍼で取り除いておけば、痛めることはありません。痛める前に治療をすれば、その大切な時間・休暇を楽しく過ごせます。
本当に治るの?
残念ながら100%の方を完治させることはできません。当院での完治または改善率は、この半年間では90%です。残りの10%の方は改善しなかった、あるいは再診されなかったので効果を確認できなかった方たちです。改善されなかった方々、申し訳ありませんでした。これからも知識を増やし、技術を磨き、もし次回があれば期待にこたえられるように努力いたします。
絶対にすぐに治るとは言えません。しかし、自分の自然治癒力を信頼し、治療していくと、きっと治ると希望を抱いてよいのです。たとえ望んだ結果が十分得られなくても、その鍼灸の治療を受け、自分の心身を見つめ直したという経験にはとても価値があります。
料金
大人の鍼灸治療は1回あたり、時間は約60分前後、そして6000円がかかります。なお、2回目以降の治療は前回から3カ月以上経っていなければ、2000円割引で、1回あたり4000円となっています。これは継続的に治療が必要な方に対する配慮からです。
また小学生未満の子供は1回あたり3000円、そして2回目以降の治療は前回から3カ月以上経っていなければ、1回あたり1000円となっています。治療に手を抜くことはありません。くわしくは「施術料金」のページをご覧ください。
治療を受けたい場合
もし治療をご希望でしたら、月曜から土曜日までは午前9時から午後8時の間に、日曜日は午前9時から12時の間に、ご予約をお願いいたします。往診などで留守にしていることがあります。その時は電話に出られませんのでご容赦お願いいたします。留守番電話にメッセージを残されるか、または改めて電話をおかけ直しください。休診日・休診時間については、「休診時間・休診日のおしらせ」に掲載しています。
電話 03-6427-6947
メール hatimitubunbun@fuga.ocn.ne.jp
一日でも早く治したい痛みに。
(腰痛・ぎっくり腰・五十肩・膝痛・坐骨神経痛・寝違えなど)
・疲れがとれない。肩こりがひどい。
・くすりが飲めない。くすり以外で治したい。
・医者から治らないと言われた。
・スポーツなどで身体を痛めやすい。
(スポーツ傷害・筋肉痛・ねんざ・打撲など)
・不妊症だけど赤ちゃんがほしい。
・逆子をなおしたい。
・生理痛がひどい。
・赤ちゃん・子供の疳の虫
・美容鍼(美容鍼灸)をしてみたい。
・冷え性や不眠症がある。
など、様々なお悩みをご相談ください。
WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には、次ぎのものを挙げています。
【神経系疾患】 ◎神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー 【運動器系疾患】 関節炎・◎リウマチ・◎頚肩腕症候群・◎頚椎捻挫後遺症・◎五十肩・腱鞘炎・◎腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫) 【循環器系疾患】 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ 【呼吸器系疾患】 気管支炎・喘息・風邪および予防 【消化器系疾患】 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾 【代謝内分秘系疾患】 バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血 【生殖、泌尿器系疾患】 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎 【婦人科系疾患】 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊 【耳鼻咽喉科系疾患】 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎 【眼科系疾患】 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい 【小児科疾患】 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
移転のお知らせ:豊島区要町・鍼灸院・はちみつブンブンしんきゅう院
移転のお知らせ
はちみつブンブンしんきゅう院は
12月20日をもって仮施術所から移転いたしました。
移転先:豊島区要町3-29-6 コーポ古木2F
(有楽町線 千川駅徒歩1分・ライフの近く)
千川駅 1番出口を出て、そのまままっすぐ進みます。
大きな交差点をわたって、ちょっと先。
パン屋さんの2階。
大きな交差点をわたって、ちょっと先。
パン屋さんの2階。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
五十肩・更年期障害・自律神経失調症・Hさん・女性・55歳・豊島区・主婦
Q:施術前はとのような症状でお困りでしたか?
A:きっかけは五十肩、更年期で自律神経がみだれて、動悸、フワフワ感、のどのつまり、胃の不調、頭が重い・・・次から次への症状でツラかった。
Q:施術中施術後に、お体やお気持ちはどのように変化しましたか?
A:お灸の香りで心が落ちついて、とてもすっきりする。薬を飲まなくても大丈夫になった。
Q:他の治療院(他の鍼灸、マッサージ、カイロ、整体、接骨院、整方形外科)の治療を受けたことがある方へ。ほかの治療院と比べて、当院の施術はいかがでしたか?
A:ずっとマッサージに通っていたが一時的な効果だった。鍼灸は私に合っていると思っている。
Q:施術者の対応や養生指導、院内の雰囲気、その他、何か感じられたことがありましたら、お願いいたします。
A:いくつもの症状が重なっている時が多いのですが1つ1つていねいに治療してくれます。
コメント
自律神経の働きのバランスを調えるのはそれほど難しくはないので、Nさんは上記以外のいろいろな症状もでましたが、いつもすぐに改善してくれました。呼吸法もしっかり覚えてくださり、実践してくださいました。ありがとうございます。最近では時々美容はりもされ、心身ともにおちついておられます。
美容鍼・Iさん・女性・59歳・豊島区・主婦
美容鍼・Iさん・女性・59歳・豊島区・主婦
Q:施術前はとのような症状でお困りでしたか?
A:年を重ねるごとに豊れい線が深くなっていき、気になっていました。
Q:施術中施術後に、お体やお気持ちはどのように変化しましたか?
A:豊れい線が完全に消えるわけではないけれど、施術後は明るい気持ちになります。施術中はBGMを聞きながらリラックスした気分で受けられます。
Q:施術者の対応や養生指導、院内の雰囲気、その他、何か感じられたことがありましたら、お願いいたします。
A:いつも礼儀正しく、丁寧にやっていただいています。
コメント
ありがとうございます。Iさんのお顔は正直なので、根を詰めてお裁縫をしたり、甘いものを食べすぎたりすると、その疲れや反応がすぐにお顔に現れてしまいます。いつもそのあたりを美容はりでケアさせていただいております。法令線を豊齢線と見なすとちょっと気分が良くなりますね。
Q:施術前はとのような症状でお困りでしたか?
A:年を重ねるごとに豊れい線が深くなっていき、気になっていました。
Q:施術中施術後に、お体やお気持ちはどのように変化しましたか?
A:豊れい線が完全に消えるわけではないけれど、施術後は明るい気持ちになります。施術中はBGMを聞きながらリラックスした気分で受けられます。
Q:施術者の対応や養生指導、院内の雰囲気、その他、何か感じられたことがありましたら、お願いいたします。
A:いつも礼儀正しく、丁寧にやっていただいています。
コメント
ありがとうございます。Iさんのお顔は正直なので、根を詰めてお裁縫をしたり、甘いものを食べすぎたりすると、その疲れや反応がすぐにお顔に現れてしまいます。いつもそのあたりを美容はりでケアさせていただいております。法令線を豊齢線と見なすとちょっと気分が良くなりますね。
頭痛・あちこちの痛み・Rさん・女性・39歳・豊島区・会社員
Q:施術前はとのような症状でお困りでしたか?
A:以前、頭痛からはじめ、あっちこっち痛くて、辛いでした。
Q:施術中施術後に、お体やお気持ちはどのように変化しましたか?
A:施術中は、はりでさされるのは緊張だと感じている。施術後、家に帰ってきて、いろんな変化を感じていて、回復に向かってるなと分かる。
Q:他の治療院(他の鍼灸、マッサージ、カイロ、整体、接骨院、整方形外科)の治療を受けたことがある方へ。ほかの治療院と比べて、当院の施術はいかがでしたか?
A:整体院でマッサージをうけたことがある。あまり効果なかった。多分うけたところの先生は力が使いすぎるやり方が効くと思われて、実際は私に合わなかった。
Q:施術者の対応や養生指導、院内の雰囲気、その他、何か感じられたことがありましたら、お願いいたします。
A:効果をかなり実感したので、とてもありがたく思います。
コメント
ありがとうございます。Nさんは高校、大学生頃からの頭痛で、それ以外にも全身様々な症状があったので、治癒には時間かかかると思いましたが、4回程度の治療でほぼ落ちつきました。海外で生まれ日本では大変なこともあると思いますがこれからも無理しないで頑張ってください。ありがとうございました。
古代中国の鍼灸の起源と扁鵲
鍼灸医学は治療が独特でおもしろい医学なのですが、いつどこで発明されたのでしょうか。現在の日本や韓国、中国につながる鍼灸医学はおそらく戦国時代から前漢の時代、黄河流域においてだろうと思います。なぜならこの医学はその当時のその土地の思想が基本になっているからです。
しかし医学ではなく医術、つまり鍼という尖った道具を身体に刺すことによって治療しようとする行為は、いつどこで始まったのでしょうか。鍼灸の起源を明らかにしようとするとき、ある壁が存在することに気がつきます。
そのひとつは文献の情報が少ないということです。古代中国では何らかの発明をすると聖人とされ記録に残ることがよくあります。しかしその記録が存在しないということは、誰がどこで鍼治療をはじめたという情報が何らかの理由により伝わらなかった、または文字が発明される以前、つまり有史以前から鍼治療が存在したということが考えられます。(あるいは鍼治療は記録に残すほど重要または特別なことではなかった、とも考えられます)
もうひとつは鍼治療が行われていたと考えられる遺跡から、鍼などの考古学的史料が発見されたとしても、それには証拠能力がないとは言えませんが、それの証明力が低いということが挙げられます。つまり鍼が発見されても、それが病気の治療に使われたと証明することは困難です。鍼の使い道は他にもたくさんあるのですから。
もし世界のどこかの古代遺跡から、病気の人を鍼で治療している絵などが発見されれば、それは証明力が高いと言えますが、そういうものはまだありません。そしてもし発見されたとしたら、古代中国の鍼治療との先後関係や因果関係を調べる必要があります。
鍼灸の起源を明らかにする仕事は、歴史学者や検察官の仕事に似ています。医学者や自然科学者の仕事とはちょっと異なるようですね。これから新しい史料が発見されるにしたがい、さまざまな新しい可能性が生まれ、今までの仮説が消えていくのでしょう。
中国で鍼が使用された最初の記録は、司馬遷の『史記』扁鵲倉公列伝に残されています。扁鵲は、虢(カク)という国で「鍼を砥石に厲ぎ、以って外の三陽五会に取らし」め、仮死状態だった太子を鍼で治療しました。虢はBC655年に滅びたことになっているので、もし『史記』の記述を信じれば、春秋時代には黄河流域に鍼治療が存在したと言えます。
しかしその記述の信頼性をあやしむ意見があります。なぜなら『史記』には扁鵲が秦の咸陽に行ったとする記述もあるからです。すると秦が咸陽に遷都するのがBC350年なので、扁鵲は300年近く生きていることになってしまうからです。
ところで『史記』には「扁鵲なる者は勃海郡の鄭の人なり、姓は秦氏、名は越人」とあります。扁鵲が一人だとすると、この紹介文はよく分かりません。勃海は東北の果ての海のことであり、鄭は黄河中流の洛陽の近くの国であり、秦は黄河上流の西の果ての国であり、越は長江下流の南の国のことです。古代中国では人の名に国の名をつけることがよくありますが、ここまで地域がバラバラなのはどういうわけでしょうか。これは司馬遷が複数の扁鵲の逸話をまとめて記述した、と考えるのが自然です。
そして扁鵲という名が、集団につけられた名であるとか、歌舞伎役者や落語家のように代々受け継がれる名であるとすると矛盾はなくなります。どちらの可能性も否定できません。(しかし逸話が事実であったと証明することはできません)
ところで紀元前5世紀ごろインドの都市タキシラにはジーヴァカ(耆婆)という医師がいました。彼は鍼と薬嚢をもって生まれでた、と言われています(『チキツァー・ヴィドヤー』)。ただジーヴァカは開腹や開頭などの外科的手術をしたことが記録に残っていますが、扁鵲のような鍼治療をしたか否かは分かりません。
ちなみに古代ギリシャのヒポクラテス(BC460-377年)も外科的治療をしていました。また瀉血治療をしていた記録があるので、おそらく鍼を使っていたでしょう。しかしやはり扁鵲のような鍼治療をしたか否かは分かりません。
アーユルヴェーダには「スチ・ヴェーダ」がありこれはサンスクリット語で「鍼の科学」を意味しています。マルマ(ツボ)に鍼をすることでプラーナ(気)の流れを改善することを目的にしているようです。古代では竹や木製の鍼が使われていたようですが、ジーヴァカのいたタキシラでは鉄や銅、青銅製の鍼が発見されています。
その後インドでは鍼治療はすたれてしまいました。しかしスリランカでは古代から現在に至るまで鍼治療が続けられているようです。大陸から海により隔てられると、生物種だけでなく技術も保存されるようですね。ガラパゴスやマダガスカル、タスマニアなど、長い間外部と隔絶してきた島々の生物と似ています。
インドと中国のどちらがより早く鍼治療をはじめたのかは明らかではありません。しかし鍼灸は古代中国人が発明したとする説の他に、古代インド人が先に発明したという説もあります。もしそうであるのなら、その技術はタキシラや敦煌を通るシルクロードから伝わった可能性があります。また柳田國男(1875-1962年)の言うところの「海上の道」も考えられます。日本や中国に稲作や南海の神話が伝わったように、ヤシの実が海から流れ着いたように、鍼治療も海から伝わったかもしれませんね。そうすると『素問』異法方宜論にある「九鍼は亦南方より来る」という記述がしっくりきます。
この技術をはじめて発明したのはこの民族の文明である、という評価をする際には、しばしばナショナリズムが入り込みます。迂闊なことはなかなか言えません。しかしアフリカや南米、東南アジアにも鍼の治療があるので、こだわる必要はないかもしれませんね。
(ムガク)
2009-09-18 はちみつブンブンのブログ より
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しかし医学ではなく医術、つまり鍼という尖った道具を身体に刺すことによって治療しようとする行為は、いつどこで始まったのでしょうか。鍼灸の起源を明らかにしようとするとき、ある壁が存在することに気がつきます。
そのひとつは文献の情報が少ないということです。古代中国では何らかの発明をすると聖人とされ記録に残ることがよくあります。しかしその記録が存在しないということは、誰がどこで鍼治療をはじめたという情報が何らかの理由により伝わらなかった、または文字が発明される以前、つまり有史以前から鍼治療が存在したということが考えられます。(あるいは鍼治療は記録に残すほど重要または特別なことではなかった、とも考えられます)
もうひとつは鍼治療が行われていたと考えられる遺跡から、鍼などの考古学的史料が発見されたとしても、それには証拠能力がないとは言えませんが、それの証明力が低いということが挙げられます。つまり鍼が発見されても、それが病気の治療に使われたと証明することは困難です。鍼の使い道は他にもたくさんあるのですから。
もし世界のどこかの古代遺跡から、病気の人を鍼で治療している絵などが発見されれば、それは証明力が高いと言えますが、そういうものはまだありません。そしてもし発見されたとしたら、古代中国の鍼治療との先後関係や因果関係を調べる必要があります。
鍼灸の起源を明らかにする仕事は、歴史学者や検察官の仕事に似ています。医学者や自然科学者の仕事とはちょっと異なるようですね。これから新しい史料が発見されるにしたがい、さまざまな新しい可能性が生まれ、今までの仮説が消えていくのでしょう。
しかしその記述の信頼性をあやしむ意見があります。なぜなら『史記』には扁鵲が秦の咸陽に行ったとする記述もあるからです。すると秦が咸陽に遷都するのがBC350年なので、扁鵲は300年近く生きていることになってしまうからです。
ところで『史記』には「扁鵲なる者は勃海郡の鄭の人なり、姓は秦氏、名は越人」とあります。扁鵲が一人だとすると、この紹介文はよく分かりません。勃海は東北の果ての海のことであり、鄭は黄河中流の洛陽の近くの国であり、秦は黄河上流の西の果ての国であり、越は長江下流の南の国のことです。古代中国では人の名に国の名をつけることがよくありますが、ここまで地域がバラバラなのはどういうわけでしょうか。これは司馬遷が複数の扁鵲の逸話をまとめて記述した、と考えるのが自然です。
そして扁鵲という名が、集団につけられた名であるとか、歌舞伎役者や落語家のように代々受け継がれる名であるとすると矛盾はなくなります。どちらの可能性も否定できません。(しかし逸話が事実であったと証明することはできません)
ところで紀元前5世紀ごろインドの都市タキシラにはジーヴァカ(耆婆)という医師がいました。彼は鍼と薬嚢をもって生まれでた、と言われています(『チキツァー・ヴィドヤー』)。ただジーヴァカは開腹や開頭などの外科的手術をしたことが記録に残っていますが、扁鵲のような鍼治療をしたか否かは分かりません。
ちなみに古代ギリシャのヒポクラテス(BC460-377年)も外科的治療をしていました。また瀉血治療をしていた記録があるので、おそらく鍼を使っていたでしょう。しかしやはり扁鵲のような鍼治療をしたか否かは分かりません。
アーユルヴェーダには「スチ・ヴェーダ」がありこれはサンスクリット語で「鍼の科学」を意味しています。マルマ(ツボ)に鍼をすることでプラーナ(気)の流れを改善することを目的にしているようです。古代では竹や木製の鍼が使われていたようですが、ジーヴァカのいたタキシラでは鉄や銅、青銅製の鍼が発見されています。
その後インドでは鍼治療はすたれてしまいました。しかしスリランカでは古代から現在に至るまで鍼治療が続けられているようです。大陸から海により隔てられると、生物種だけでなく技術も保存されるようですね。ガラパゴスやマダガスカル、タスマニアなど、長い間外部と隔絶してきた島々の生物と似ています。
インドと中国のどちらがより早く鍼治療をはじめたのかは明らかではありません。しかし鍼灸は古代中国人が発明したとする説の他に、古代インド人が先に発明したという説もあります。もしそうであるのなら、その技術はタキシラや敦煌を通るシルクロードから伝わった可能性があります。また柳田國男(1875-1962年)の言うところの「海上の道」も考えられます。日本や中国に稲作や南海の神話が伝わったように、ヤシの実が海から流れ着いたように、鍼治療も海から伝わったかもしれませんね。そうすると『素問』異法方宜論にある「九鍼は亦南方より来る」という記述がしっくりきます。
この技術をはじめて発明したのはこの民族の文明である、という評価をする際には、しばしばナショナリズムが入り込みます。迂闊なことはなかなか言えません。しかしアフリカや南米、東南アジアにも鍼の治療があるので、こだわる必要はないかもしれませんね。
(ムガク)
2009-09-18 はちみつブンブンのブログ より
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