上腕二頭筋は、肘の屈曲・前腕の回外・肩の屈曲をさせる筋肉であり、非常によく使用される筋肉です。その上腕二頭筋腱には長頭と短頭がありますが、長頭の方は上腕骨に沿って走行し、結節間溝を通り、ほぼ直角に向きを変えています。そのため摩擦や圧迫など局所的な大きな負荷がかかりやすく痛めやすい場所でもあります。
急性期は結節間溝部に、圧痛や腫脹、熱感、運動痛があり、少し肩を動かすだけでも痛みを誘発します。
慢性期は結節間溝部の圧痛やスピードテスト・ヤーガソンテストなどが陽性となります。
検査法
・スピードテスト
手のひらを上にして腕を伸ばした状態でそのまま腕を挙上させます。その時、腕が上がらないように術者が抵抗を加えると、結節間溝に痛みがでたら陽性。
・ヤーガソンテスト
上腕と肘を体幹に密着させ、肘は90°に屈曲させ、手のひらを右に向けます。この手のひらを上に向けようと回外させる時、術者は抵抗を加え、結節間溝に痛みがでたら陽性。
治療
急性期は安静・冷却・圧迫・挙上(RICE)を行います。対処療法として、消炎鎮痛薬の内服・貼布、局所麻酔・ヒアルロン酸・副腎皮質ステロイド剤の注射など。明らかな腱板断裂は縫合し2~3週間固定する。鍼灸治療は急性期・慢性期とも行えます。