鍼灸の実技:第4節 灸の補瀉

鍼灸の実技:序・目次


第4節 灸の補瀉


灸を鍼に比ぶれば、だいたい補的のものというべきである。が、鍼に補と瀉があるように灸にも"補"と"瀉"を区別する。

艾に点火し その火を消さず、自然の消火にまかせるので、その火熱が温々として冬日の如く心地よい熱感のある施灸のしかたをいう。これには、乾燥し、良質の艾を、柔かに撮み、皮膚に軽くつけ、燃焼した灰の上から施灸する。小炷にし、炷を高くし、底面を狭くする、少壮は補となる。 艾に点火し、自然の消火にまかせず、風を送って早く消火させ、猛烈夏日の如き熱感を与える方法 である。艾は硬く捻り、皮膚に強く貼じ、燃焼した灰を一々除去して、施灸する。炷は低くてよい、低面を広くする。多壮は瀉となる。

参考 灸の瞑眩

 ≪続名家灸選≫に『凡そ灸後、寒熱、耳鳴眩暈、頭疼、唇ロ乾燥し、痞満不食の証ありて、其の脈浮、滑、緩、洪ならぱ陽気通暢の象であり、これは艾火活壮の効にして、瞑眩である。喜ぶべきものとなし、停止することI、2日にして、復多く灸す。若しその脈沈、緊、細、数、実、長、結、代ならば火気炎逆の象にして火邪に属す。施灸すべからず』とのぺている。大谷彬亮博士の≪刺激療法≫に施灸刺激の結果として現わるる。生体反応は"陽佳相 Postive phase"と"陰性相 Negative phase"であるとのべている。

①陽性相  Postive phase                                                 
 疾病の軽快、神気爽快、食慾亢進、快眠、赤血球沈降速度増加、白血球増多を来し、一般に治療成績良好なる感を与える。

②陰性相  Negative phase                                               
 全身倦怠、頭痛、筋肉痛、関節痛、食慾減退、不眠、嘔気、嘔吐を現わす現象で、一般に症候の増悪を来すもので、軽度、継続期間の短きをもって可良とするものである、が1~2時間より、5~6時間に発し、24時間に消退し、次に陽性転帰をとるのが普通である。
                    
イ、適当刺激は直ちに諸症の減退を見る。                              
ロ、刺激多きときは悪寒、戦慄をもって高熱を発する。                  
ハ、最大刺激は虚脱をおこし、体温かえって下降することがある。        
ニ、甚だしく過度ならざる刺戟では両日後に陽性相が現われるもので、   
従来存せし熱も下降するものである。

 とのべている、いずれの場合も刺激と生体反応の関係として重要な知見である。


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