鍼灸の実技:第5節 挿管、排管

鍼灸の実技:序・目次


第5節 挿管、排管


 押手を全部固定したら、鍼を管に入れた鍼管を押手の拇指と示指に挟み立てるのである。この時に注意せずに管を皮膚上に立てることは、弾入時に痛みを感じ、刺入に痛み、抜除に痛む原因を作ることになるから一応の心得をもっていなければならぬ。

1.挿管の注意

1)鍼管を挿手の拇指と示指との間に挿み立てるときは、拇指と示指を開かぬよう、拇示指間に管を割り込ませるようにして立てる(押手は皮膚を片寄った方に引き寄せていないかはまずもって注意しておかなけれはならない)。即ち皮膚が自然の状態にあるよう、片寄つた転滑の状態にならぬことが最も必要である。
2)管が皮膚に達したら、鍼管を皮下にやや強めに下圧する。この際打手の拇示指を安定にし、固定圧を確定する。但し鍼管を下圧するときは垂直であることは勿論、鍼柄の部分から刺手の指を離して行わ
ないと、鍼に力が入り、刺痛を感ずることがある。
3)押手の拇、示指間に鍼管を挿入する際、指端から横に挿し入れる者が多いが、これは刺鍼部の皮膚を不自然な状態にする原因をつくることとなるから禁ずべきである。
4)鍼管を垂直に挿立したら、押手の左右圧を弾入に際し、鍼管が動揺しない程度に力を入れなけれはならない。

2.排管の注意

 弾入が終ったら排管にかかるのであるが、この際弾入が終ったからとて、あわてて管を抜かぬよう、1、2呼吸の間気を落着げて次の動作に移るようにせねばならぬ。

1)鍼管を引き上げる際、押手の拇示指間の力が不同にならぬよう、どこまでも、刺鍼部を中心に、皮膚、皮下組織が滑動しないように配慮注意して行うこと。
2)鍼管を引き上げかかると、上下底に力の変動がおこり易いものであるから、これに対して充分に注意して、かかることのないようにせればならぬ。
3)排管にあたって押手の拇指と示指を開くが如きことは、もっとも慎まねばならぬ。

 排管にあたっての心得は、あくまで鍼を皮膚、皮下組織が自然の状態にあるよう、鍼を中心として、これに押手の上下底、左右圧が順応するよう、押手の拇指と示指の皮膚、皮下に加わる力が不同のないよう、鍼を主とし、押手は客と考えるくらいにして行うのが、刺抜時に種々の不都合を起さぬ要因となるものである。

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