お尻から太ももの痛み(臀部・股関節・大腿部痛)

はじめに


 鍼灸の外来診療でもっとも多い疾患の一つが臀部・股関節・大腿部痛です。鍼治療は、それらの多くに効果がありますが、ご注意ください。鍼灸治療が速やかに効果をあらわす腰痛は、筋骨格由来の機械的な腰痛です。中には重篤な疾患が隠れていることがあります。ざっと下を見て確認していきましょう。


○急性椎間板ヘルニア

○股関節骨折

○大腿骨頭無菌壊死

○深部静脈血栓

○原発性・転移性腫瘍


 単に臀部・股関節・大腿部痛と言ってもさまざまな病気が隠れていることがあります。どんな場合にそれらの病気が疑われるのでしょうか。


 夜間や安静時に痛みがひどくなる場合、悪性腫瘍を疑うことがあります。また、なんらかの物理的な原因があり、骨の叩打痛がある場合には、骨折を、また体重を支えられない場合は大腿骨頭壊死も疑います。腸や膀胱の症状や、持続性のしびれや、灼熱感、刺痛などの感覚異常があれば、腰の神経根障害、脊髄障害、急性の場合は急性腰椎椎間板ヘルニアなどを疑います。また総大腿静脈上に疼痛を伴う発赤と腫脹があれば、大腿の深部静脈血栓を疑います。


臀部痛

 臀部痛には、尾骨痛・坐骨神経痛。膝屈曲筋/坐骨結節症候群・梨状筋症候群・反射性交感神経ジストロフィー・慢性局所痛症候群などがあります。

大腿部痛

 大腿部痛には、大腿部外側皮神経症候群/感覚異常性大腿神経痛・大腿四頭筋挫傷/断裂・膝屈曲筋挫傷・転子滑液包炎・腰の神経根障害(L2/L3)・腰部椎間関節症候群。腸腰筋滑液包炎・腸腰筋腱炎・腸腰筋症候群(ばね股症候群)・股関節内転筋挫傷・腸脛靭帯症候群・大腿部の深部静脈血栓症・絞扼性ニューロパチーなどがあります。

股関節痛

 股関節痛には大腿骨頭無菌壊死・股関節骨折・股関節の変形性関節症・関節リウマチなどがあります。


原因


 重いものを繰り返し持ち上げる仕事は、さまざまなタイプの腱炎や滑液包炎、腰の神経根障害、椎間板ヘルニアのリスクを増大させます。またコルセットや腰椎サポートベルト、重量挙げ用ベルトなどを常用していると、絞扼性ニューロパチーを生じ、感覚異常性大腿神経痛や大腿部外側皮神経症候群になりやすくなります。また高所から繰り返し飛び降りる仕事は、変形性関節症などが、長時間の車や飛行機などに乗ると深部静脈血栓のリスクが高くなります。またスポーツとする場合、ストレッチやウォーミングアップを十分することで膝屈曲筋症候群や坐骨結節症候群など、さまざまな障害を予防できることがあります。


 一般の、特に思い当たる原因もなく、激しい仕事やスポーツをすることもない人の診断で最も多いものに、坐骨神経痛や梨状筋症候群があります。これらは、症状がある坐骨神経のある場所あるいはその周辺に硬結化した骨格筋があり、それを緩めると一時的に症状が消失あるいは改善します。慢性であり、何もしなければ数日でまたもとに戻りますが、足の内転筋群を鍛えたり、身体の使い方を改善しリハビリや体操、ウォーキングなどをまめにすることで再発を予防していくことができます。