テニス肘

 テニス肘とは、テニスによって生じる肘の疼痛性障害のことであり、上腕骨外側上顆炎と上腕骨内側上顆炎に大きく分かれます。バックハンドストロークでの負荷が積み重なると、上腕骨外側上顆に炎症や骨膜炎が生じ、フォアハンドストロークでは上腕骨内側上顆にそれが起こります。膝や体幹、肩を使い負荷を分散させてストローク動作を行えるようになれば、肘の負荷が減るとともに、球の威力も上がります。手首のみを使った打法では肘への衝撃がかかり、テニス肘を生じやすくなります。

検査

1. 熱感・腫脹・発熱などの炎症状態


2. 握力・可動域制限がある時はその要因

3. 関節の不安定性

 ・外反ストレステスト

 術者は患者の肘関節の外側を固定し、もう片方の手で前腕を持ち、上腕を最大に外旋させて、肘を約15°屈曲位で外反ストレスを加え、疼痛を誘発させる。内側側腹靱帯損傷では、肘内側部に疼痛が誘発される。

 ・内反ストレステスト
 肘関節軽度屈曲位でゆっくりと内反をかけていく。外側側腹靱帯損傷では、肘外側部に疼痛が誘発される。
 


4. 圧痛(上腕骨内側上顆・上腕骨外側上顆・肘頭窩・関節裂隙)

5. 前腕の緊張性(短橈側手根伸筋・総指伸筋)

6.上顆炎の誘発テスト

 ・トムゼンテスト(外側)
 前腕を回内し握りこぶしをつくらせて、抵抗下で手関節を背屈させると、上腕骨外側上顆部に疼痛が誘発される。


 ・中指伸展テスト(外側)
 患者は肘関節を回内、手関節および中指MP関節を伸展状態とし、術者は患者の中指を掌側に抵抗を加え、患者はこれに反して中指を伸展させる。すると、上腕骨外側上顆部で疼痛が誘発される。


 ・チェアーテスト(外側)
 患者は肘関節を回内し、肘伸展位で椅子を持ち上げる。その際、上腕骨外側上顆部への疼痛が誘発される。


 ・逆トムゼンテスト(内側)
 前腕回外・手関節背屈位で握りこぶしをつくり、抵抗下で手関節を掌屈させると、上腕骨内側上顆部に疼痛が誘発される。


治療

 軽症であれば、安静、アイシングや抗炎症剤のシップや軟膏、必要に応じて内服の消炎鎮痛剤。筋力低下や筋柔軟性を上げるため、筋力訓練やストレッチングも行う。症状が長期化する場合は、温熱療法やステロイド局所注入を行います。
 テニスプレー中に痛みはないが終了後に痛む場合は、練習後のアイシングを指導しながら鍼灸治療を行うことで軽快します。テニスプレー中に痛みがあり、プレーに支障がある場合は、練習量を減らし、週一回の鍼灸治療と練習前のストレッチング。運動後の鍼灸治療で軽快します。日常生活でも痛みがあり、テニスはできない場合、1~2週間練習を休止させ、週1~2回の鍼灸治療で日常生活上の痛みは比較的早く改善します。肘の変形がある場合は治りが遅くなります。




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